幸福(こうふく)を呼(よ)ぶか、不幸(ふこう)をまねくかはその人次第(しだい)!
© 廣嶋玲子・jyajya/偕成社/銭天堂製作委員会
姫子(ひめこ)は幼稚園(ようちえん)でうめ組の先生をしているが、子どもたちは言うことを聞いてくれない。行儀(ぎょうぎ)のいい子ばかりの真紀子(まきこ)先生のさくら組をライバル視(し)している。ある日、姫子は銭天堂(ぜにてんどう)で『ライバルバルーン』を買う。誰(だれ)かに負けたくないというライバル心をふくらませられるバルーンで、うめ組の子どもたちはさくら組にライバル心を持つようになるが……。
戦国(せんごく)時代、甚六(じんろく)は刀鍛冶(かたなかじ)になって優(すぐ)れた刀をこしらえたいと思っている。しかし、村では刀は必要(ひつよう)とされていないので、親方はそれを許(ゆる)さない。ある日、行商をしている紅子(べにこ)から『妖刀糖(ようとうとう)』を買う。これを食べると、甚六は妖刀と呼(よ)ばれるほどの刀をきたえられるようになり、都(みやこ)へ出て有名な刀鍛冶になるのだが……。
龍介(りゅうすけ)の願望(がんぼう)は、女子たちからモテること。同じクラスの貴志(たかし)はカッコよくてサッカーも上手いので女子から人気があるが、龍介は顔は普通(ふつう)だし、取り柄(え)もないので、気になる女子から見向きもされない。ある日、銭天堂(ぜにてんどう)で『もてもてもち』を買う。これを食べて学校へ行くと、女子たちにモテまくり、龍介は最高(さいこう)の気分を味わうが……。
かりんは毎日習い事ばかりで忙(いそが)しく、のんびり過(す)ごす時間がない。ある日、英語(えいご)教室をサボっていつもと違(ちが)う道を進むと、銭天堂(ぜにてんどう)へたどり着き、紅子(べにこ)から『タイムライム』をすすめられる。これを買って食べると、時間の長さをコントロールして、嫌(いや)な時間を半分に縮(ちぢ)めたり、楽しい時間を2倍に引き延(の)ばしたりできるようになるのだが……。
江戸(えど)時代、とある大名屋敷(やしき)で働(はたら)いている左衛門(さえもん)は、若君(わかぎみ)である千丸(せんまる)の教育係をしていた。しかし、わがままな若君は、料理(りょうり)の好(す)き嫌(きら)いが多く食べようとしない。そんな時、行商をしている紅子(べにこ)に出会い、『舌鼓(したつづみ)』を売ってもらう。この鼓の音を聞いた千丸は、どんな料理もおいしく食べられるようになる。しかし……。
潤美(うるみ)は謝(あやま)るのが苦手な小学生。学校で友だちとケンカしてしまい、自分が悪いとわかっているのだが、素直(すなお)に謝ることができない。そんな性格(せいかく)を銭天堂(ぜてんどう)の紅子(べにこ)に見抜(ぬ)かれ、『ごめんラーメン』というカップ麺(めん)をすすめられる。これを食べると、謝るのが苦手な人も素直に謝ることができて、しかも必ず許(ゆる)してもらえるというのだが……。
はるは他人の顔色をうかがってばかりで、本音を話せる友だちは1人もいない。一方、同級生の優樹菜(ゆきな)は、いつも1人だが堂々としている。自分も優樹菜のようになりたいと思っていると、銭天堂(ぜにてんどう)にたどり着き、『おおらか落花生』をすすめられる。食べた人におおらかさをもたらす駄菓子(だがし)で、心にゆとりを持てば、人の顔色も気にならなくなるという。はるはこの駄菓子を買って帰るが……。
アイドルを目指す美歌(みか)は、同じ夢(ゆめ)を持つ少女たちと合宿オーディションに参加(さんか)している。あるとき、大事なお守りを無(な)くしてしまい、探(さが)していると、たたりめ堂(どう)のよどみが現(あらわ)れ、参加者の中に美歌の敵(てき)がいると言う。そして、よどみは美歌に『悪魔(あくま)あめ』をくれる。それを食べると、自分に悪意を持っている人間の顔が悪魔に見えるというのだが……。
幸二(こうじ)は辛(から)い料理(りょうり)が食べられない。辛い料理が好(す)きな兄の謙一(けんいち)に「お子ちゃま」と言われて、悔(くや)しい思いをしている。なんとかして謙一より辛い料理を食べて、見返してやりたいと思っていると、銭天堂(ぜにてんどう)へたどり着き、『チリチリチェリー』を買う。これを食べると、幸二は辛い料理を食べても平気になり、謙一を見返すことに成功(せいこう)するが……。
陸人(りくと)、ソラ、海次(かいじ)は、危険(きけん)な廃墟(はいきょ)に勝手に忍(しの)びこんで、脱出(だっしゅつ)するゲームを楽しんでいる大学生3人組。もっとスリルのあるゲームがしたいと考えている3人は、銭天堂(ぜにてんどう)へたどり着き、『迷宮(めいきゅう)メロンパン』を買う。これを食べると、迷路(めいろ)のような街(まち)の中に迷(まよ)いこみ、そこで脱出ゲームを楽しみ始めるが……。