NHK映像の世紀バタフライエフェクトで放送した名言や取材秘話、エピソードの見どころなど番組をより深く楽しめるコンテンツを随時掲載していきます。
10年前、アフリカ大陸を3か月間旅する中で出会ったスーダンの青年。彼には12歳から3年間、少年兵として 戦った過去がありました。「あの頃は、人を殺すことになんのためらいもなかった。AK-47を持っていれば、いつの間にか自分が強くなったように思えた。異常な精神状態だったよ。」 彼が語るように、銃は人間をとてつもなく暴力的にする力を持っています。ひとりが銃を持てば、対抗するために 周囲も銃を手に取り、それが社会の中で連鎖していく。壊れにくいカラシニコフ銃はどれだけ月日が経とうとも、 使用可能な状態で残りつづける。そして、人と人が殺し合い、憎しみ合う悲劇は拡大していく。 開発者のミハイル・カラシ...記事を見る
番組の中で、名曲「奇妙な果実」が誕生するきっかけとなった写真をご紹介しました。リンチされ、木につるされた黒人の遺体の写真です。初めてこの写真を見たとき、衝撃を受けたのを覚えています。こうした写真は当時大量に撮影されていて、珍しいものではなかった。まさか、こうした写真が絵葉書として販売されているなんて想像もしていませんでした。それぐらい、黒人へのリンチは日常の中にあるものだったのです。こうした事実を目の当たりにして、身体にズシンと響くような、苦い気持ちがわきおこるのを感じました。頭では理解していたつもりの、黒人たちが背負わざるを得なかった壮絶な歴史。番組制作を通じて、その重さを初めて実感したよう...記事を見る
今から80年前の1944年6月6日。ノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)が行われました。アメリカから大勢の兵士たちが送りこまれ、その中には、戦場が初めてという新兵も多くいました。 『ライ麦畑でつかまえて』の著者、J・D・サリンジャーもそのひとりでした。戦場に原稿を持ちこみ執筆を続けていたといいます。『ライ麦畑』の主人公の少年は「インチキ(phony)」ということばを度々使います。社会や大人たちを欺瞞的な「インチキ」だと嫌い、穢れなく無垢なものに心を寄せる姿には、過酷な戦争経験の影響があると指摘されています。 ノルマンディー上陸作戦の成功は、今もアメリカやイギリスにとって輝かしい勝利...記事を見る
今回、日本航空のパイロットトレーニングの担当者を取材した。過去の航空機事故から得た教訓をどのように活かしているのか調べるためだ。印象的だったのは「人間の能力と限界を意識し、間違いを起こさないために何ができるか」を徹底して考えていること。ヒューマンエラーが起きやすい状況は“ヒューマン・ファクター”と呼ばれ、運航マニュアル、乗務員同士などのコミュニケーションなど様々なところにある。「安全への取り組みは、いかに1つ1つの問題を言語化していくか、という闘いでもあった」と担当者。目の前にある問題がなぜ問題なのかを繰り返し言語化し克服する努力を続けないとヒューマンエラーは何度でも起きうることを知り、驚いた...記事を見る
東京裁判を扱ったドキュメンタリーで最も有名なのは、4時間半を超える長編映画「東京裁判」(1983)。巨匠・小林正樹監督の大作に敬意を表しつつ、そこで何が描かれ、何が描かれていないのかを見極めることが、今回の番組制作の出発点となった。 主に3つの事に注力した。1つは、米国立公文書館に保管されている裁判の記録映像の徹底的なリサーチ。概算で54万フィート、およそ100時間に上ることがわかり、スタッフで手分けをして、可能な限り試写した。2つ目はNHK独自素材の発掘。アーカイブスには、判決直後の市民の声を拾い集めた街頭録音や、刑期を終えた元戦犯へのインタビューなど、貴重な記録が眠っていた。3つ目は、最...記事を見る