第2回は「シャイニング・プリンス(光る君)の物語」と題して、イギリス人東洋学者アーサー・ウェイリーの英訳本がいかにしてヨーロッパ中で読まれるようになり、ベストセラーになったのかを解説します。俳人で評論家の毬矢まりえさんは、光源氏を「シャイニング・プリンス」と表現したウェイリーの英文に接し、それまでになかった実在感を感じたといいます。それは、毬矢さんの中で新しい「光る君」が動きだした瞬間でした。
新シリーズでは100年程前に出版された「源氏物語」の英訳本「ザ・テイル・オブ・ゲンジ」を、日本語に戻し訳した毬矢まりえさん(俳人・評論家)が登場します。イギリスの東洋学者アーサー・ウェイリーが全英語翻訳してできた、この本が当時どれほど世界中で高い評価を得たのか、またその英訳本の戻し訳に、なぜ毬矢さん姉妹が取り組むことになったのか、日本学者・ドナルド・キーンさんとの関わりなども含めて語ります。
今回は平安時代から中世になる時期に活躍した二人の歌人を取り上げます。国文学研究資料館館長・渡部泰明さんが、独自の技巧を和歌に取り入れた西行と藤原俊成について語ります。二人はどのようにして新しい時代を切り開いていったのか、多くの名歌を例にあげて解説します。23歳という若さで出家した西行は宗教的な意味を和歌にこめました。また、藤原俊成は「述懐百首」「古来風躰抄」などの作品で新境地を開拓したといいます。
第3回は「院政期の歌人たち・新しい風景へ」と題して、平安時代から鎌倉時代への転換期に登場した二人の歌人「源経信」と「源俊頼」を紹介します。「源経信」は風景を描きながら、その中に遠近感や深さを感じさせ、自らの心情をも投影する和歌を多く詠みました。また息子「源俊頼」もその影響を受け、音や動きを取り入れた名歌を残しています。国文学研究資料館館長・渡部泰明さんが先進的な作風を開拓した二人について語ります。
第2回は「王朝の宮廷女房歌人」と題して、宮廷に仕えた女流歌人たちが詠んだ和歌を通して、当時の日々の暮らしや恋愛模様、そして心の交流などを読み解いていきます。国文学研究資料館館長・渡部泰明さんは、今回3人の歌人を取り上げました。歌集・和泉式部集で知られる「和泉式部」、源氏物語を著した「紫式部」、中古三十六歌仙の1人として有名な「赤染衛門」の3人です。それぞれの歌人の表現力や世界観について語ります。
新シリーズでは平安時代の貴族たちにとっては、交流手段であり、恋には欠かすことができないツールだった和歌を取り上げます。第一回は、醍醐天皇の命により編纂された「古今和歌集」に登場する特徴的な和歌をよみながら、当時の歌人たちの想いを伝えます。国文学研究資料館館長・渡部泰明さんは、目の前にある物を別の物のように見たてて、歌の中で表現する「見立て」という技法にこそ「古今和歌集」の特徴があると語ります。
第4回は歌人・馬場あき子さんが登場します。馬場さんは、たとえ戦争などによって国が滅ぶようなことがあっても、歌や芸能によって「言葉」が守られてさえいれば、人々の「いのち」は失われないと多くの歌を詠んでこられました。特に「いのち」を詠み込んだ歌は、今も人々の心に感動をよび、生きるための力を伝えています。今回は、作品「時々いのちのことを思った歌」を紹介しながら、ご自身の戦争や看取り体験について語ります。
第3回は生命誌研究者・中村桂子さんが生命科学の観点から命について語ります。DNAの二重らせん構造が発見された1953年以降、生命科学の世界は飛躍的に進歩しました。中村さんによる「生命誌絵巻」(HPギャラリーに掲載)を見ると、40億年前の原始の海で生物の祖先細胞が生まれ、そこから地球上のすべての生き物が進化していることがわかります。「共感力」「想像力」などをキーワードに生きることの意味を語ります。
シリーズ第2回は、理論物理学者・佐治晴夫さんが登場します。数学、物理学、天文学、宇宙論を半世紀以上研究してきた佐治さんによると、人間は宇宙の産物であり、宇宙の進化によって形成された存在物であるといいます。また、未来を想像して予測できる能力、「考える」力こそが人間の持つ最大の特徴であると解説します。「メメントモリ」(死を想え)などを引用しながら命について、また今を生きることの意味について語ります。
第1回は聖心会シスター・鈴木秀子さんが、私たちの命が本当に輝き、一人ひとりが幸せになるとはどういうことなのかを語ります。誰の人生にも、必ず辛い事や苦しい事がふりかかってきます。生きる目的を見失った時、どうすればその辛さを克服し、自らの「成長」を促していくことができるでしょうか。鈴木さんは、あるシンプルな考え方をすることで乗り越えることができるといいます。その考え方とは何か?分かりやすく解説します。