デフ・ヴォイス出演者からのコメント他

脚本・高橋美幸が語るドラマ「デフ・ヴォイス」

公開：2024年2月3日(土)午後2:56

『物語る』という行為には、表裏のような２つの側面がある。１つはより多くの人を楽しませる事。もう１つは、真実を広く世に伝える事。真実というものは、大抵苦いものだ。巧みな物語には、その苦い真実を、より多くの人に感動を以て伝える力がある。３年前、映像企画として、伊藤学プロデューサーに提案された『デフ・ヴォイス　法廷の手話通訳士』を読んで、そんな事を思った。コーダの子の名を呼ぶ母の声が、私の頭の中にこだました。『ろう者とは、日本手話という、日本語とは異なる言語を話す、言語的少数者である』１９９５年、木村晴美氏と市田泰弘氏によって発表された『ろう文化宣言』。聴者が多く占める世の中で、高ら...記事を見る

聴覚障害のある俳優・小川光彦が語るドラマ「デフ・ヴォイス」

公開：2024年2月3日(土)午後2:55

中途失聴の弁護士、片貝俊明を演じた小川光彦です。　ドラマをご覧いただいた方からの感想では「自然な演技で良かった」という声が多く、うれしい限りです！監督やスタッフ、手話通訳の皆さんが「見てわかる」環境をご用意くださったおかげで、ありのままに演じることができました。　デフ・ヴォイスは多様なろう者、中途失聴・難聴者や、彼らを取り巻く環境が登場する希有なドラマです。エキストラも含めると30人以上の聴覚障害者が出演していたでしょうか。片貝弁護士の演技についても、中途失聴・難聴の当事者による考証が入り、内容を複数の視点でチェックしたので、安心して演技に臨めました。　ひとつ残念だったのは、片貝弁...記事を見る

ろう者俳優コーディネート・廣川麻子が語るドラマ「デフ・ヴォイス」

公開：2023年12月25日(月)午後6:30

「デフ・ヴォイス」ろう者・難聴者が俳優として活動するということ「デフ・ヴォイスをドラマ化するかもしれない。ろう者役はろう者、難聴者役は難聴者で」そんなお話を原作者の丸山正樹先生から伺ったのは、コロナ禍が蔓延する少し前のことでした。それを聞いたとき、心からとても嬉しく思いました。ろう者俳優が映像作品に出るということは、今回が初めてではありません。劇場公開された作品として、映画「アイ・ラヴ・ユー」（1999年）三部作で忍足亜希子さんが主演、この時にも複数のろう者俳優がオーディションを経て出演を果たしました。他にも「ゆずり葉」（2009年）、「虹色の朝が来るまで」（2018年）、などいくつか...記事を見る

原作・丸山正樹が語るドラマ「デフ・ヴォイス」

公開：2023年12月25日(月)午後6:30

　ドラマ『デフ・ヴォイス　法廷の手話通訳士』を観終わった今の熱い思いを、一体どう伝えればいいのだろう。ドラマが始まった当初こそ、「おお、小説のタイトルが一面に」とか「ああ、原作と同じシーンが」などと感慨にふけり、知り合いのろう者俳優が日本手話で堂々と主演俳優と渡り合っているのを観るだけで涙ぐんでいたのだが、次第に、目の前に映し出されている映像が自分の原作であることを忘れた。いやもちろん完全に頭から離れるわけはないのだろうが、スタート当初のように自らに引き付けた感慨ではなく、ドラマとしての新鮮な「驚き」や「感銘」に変わっていったのだ。まず目を見張ったのが、「構成」の素晴らしさだ。冒頭にタ...記事を見る

CODAの私が内側から見たデフ・ヴォイス

公開：2023年12月23日(土)午後11:13

CODAの私が内側から見たデフ・ヴォイス作品との出会い JR新宿駅南口コンコース内の書店で、私と「デフ・ヴォイス　法廷の手話通訳士」（丸山正樹著／文春文庫）は出会いました。まず、棚に面陳（めんちん）されていた書影（しょえい）とタイトルの「デフ」が目に飛び込んできました。「Deaf」は、ろう者という意味を持つ英単語で、私にとって非常になじみ深い言葉でした。 Children Of Deaf Adults 耳の聞こえない親から生まれた聞こえる子ども。その頭文字を取って「CODA」。私は、CODAとしてこの世に生を受け、生きてきたからです。その日、私は「ほほーん」と思...記事を見る