100分de名著

誰もが一度は読みたいと思いながら、なかなか手に取ることができない古今東西の「名著」を、25分×4回=100分で読み解く番組です

共有

“古今和歌集” (3)歌は世につれ、世は歌につれ

初回放送日:2023年11月20日

「深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染めに咲け」。心あらばという桜への呼びかけがこの歌の中核だ。心をもたない存在に心を求めるという表現は「古今集」の真骨頂。 死別の悲しみを歌った「深草の野辺の桜し心あらば今年ばかりは墨染めに咲け」。桜が墨染めに咲くことはありえない。不可能なことを望むのはそれだけ悲しみが深いから。このように「古今集」におさめられた和歌は、人の生死、別離の哀惜、愛する人への祈りなど、人生そのものを深く描く。第三回は、人生の折々に読まれた和歌をピックアップし、人の世の不思議さに迫っていく。