100分de名著

誰もが一度は読みたいと思いながら、なかなか手に取ることができない古今東西の「名著」を、25分×4回=100分で読み解く番組です

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司馬遼太郎“覇王の家” (4)後世の基盤をどう築いたか

初回放送日:2023年8月28日

「覇王の家」では意外にもクライマックスといえる「関ヶ原の戦い」「大阪の陣」が一切書かれない。「一度書いたものは二度書かない」という司馬の作家倫理によるものだ。 司馬が注目するのは、最晩年の家康が後世の盤石な基盤づくりのための秘法を側近たちに告げるシーン。「譜代を冷遇し外様を優遇する」という一見不可解な策には家康ならではの企みがあった。安部さんはそこに書かれたかもしれない「家康の未来へのビジョン」を作家的想像力で補う。第四回は、司馬が書かなかったことや、逆に周到に描いたラストシーンを通して、家康がどんな国家像やビジョンをもっていたかを読み解く。