“古今和歌集” (1)めぐる季節の中で
初回放送日:2023年11月6日
「袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ」。夏、冬の思い出。そして迎えた立春の鮮烈さ。一首の中に見事なまでに季節の移り行きが封じこめられている。 「古今和歌集」の歌人たちは、まだ訪れる前の時期に、どうにか「春夏秋冬」を見つけようとする。「古今和歌集」では何よりも季節の「兆し」が大事にされるのだ。当時の人たちにとって、季節は探し出したり予感したりするものだったのである。第一回は、「古今和歌集」成立の背景にも迫りながら、季節の移ろいを見事に映し出した和歌の魅力を深く味わっていく。