希望を、絶やすな――
© 原泰久/集英社・キングダム製作委員会
現・蚩尤の幽連と誰よりも蚩尤としての才能があると言われた羌カイ。最強の蚩尤同士の戦いは熾烈(しれつ)を極める。その身に“神”をおとして戦うと言われる蚩尤が使う“巫舞”を極めるため、現世へのしがらみや想いを全て断ち切った幽連の圧倒的な強さに追い詰められる羌カイ。だが、抗う力もないまま失いかけた意識の中で、羌カイは、一筋の“光”を見る。その“光”に“巫舞の秘密”を垣間(かいま)見た羌カイは…!?
秦国が、国の命運を握る戦いに全軍を挙げて挑んでいた頃、飛信隊副長・羌カイは、“姉”と慕った羌象の仇(かたき)討ちのため隊を離れ、趙国にいた。かつて伝説の暗殺集団“蚩尤”の里から逃げ出し、今は里の外で協力者として働く羌明から、羌象の仇・幽連の居所を聞く羌カイ。幽連が潜む“老山”の山中へと足を踏み入れた羌カイだが、卑劣な手段を使うこともいとわない現・蚩尤の幽連に苦戦を強いられ…!?
満身創痍の状態で、ホウ煖との一騎打ちに挑む信。一方、ホウ煖は、どんなに打ちのめしても決して折れない信の強さに戸惑いと苛立ちを隠せずにいた。激闘の中、何度も打ち込んできた信の一刀が、ついにホウ煖の身体を捉える!王騎を、そしてヒョウ公を打ち破った宿敵・ホウ煖を相手に、信はその仇を討つことができるのか…!?秦国存亡を賭けた中華を揺るがす大決戦、その結末を左右する世紀の一戦の行方とは…!?
李牧軍の猛攻により陥落したかと思われたサイ。そこに姿を見せたのは、“山界の死王” 楊端和率いる“山の民”。一気に戦場になだれ込んだ彼らは、女王・楊端和と秦王・エイ政の結んだ同盟に従い、圧倒的武力で李牧軍を撃破してゆく。予想だにしなかった事態に敗色濃厚の李牧軍だが、そのとき、趙三大天である武神・ホウ煖が現れる。凄(すさ)まじい気迫に誰もが圧倒される中、信は因縁の相手・ホウ煖を倒すべく立ち向かう!
秦王・エイ政がサイにいるという事実が趙軍に露見し、李牧はエイ政を捕えるべく全軍で総攻撃を開始。サイは正念場に立たされることとなった。奮闘を続けてきた民兵たちが連日の戦いで次々に力尽き苦境に陥る中、戦場に響くエイ政の檄や信ら各城壁の将たちの奮闘で何とか闘志を繋ぎとめる。だが、地力で勝る敵の攻勢にとうとうサイの士気は限界に。もはや“奇跡”にしか活路を見出せぬほど追い詰められた秦軍。勝機はあるのか!?
飛信隊が守る南壁を、李牧の二人の側近・カイネと傅抵の隊が襲撃。傅抵と一騎打ちになる信だが、相手の素早い動きに翻弄され思うように戦えない。そのとき、信の脳裏に、かつて副長・羌カイから投げかけられた言葉がよみがえる。一方、戦慣れしていない民兵たちの弱点を突くべく揺さぶりをかける李牧は、想像以上に激しい抵抗を続けるサイに不審を抱く。唯一彼らを奮い立たすことができる人物に思い当たるも確かな情報はなく…!?
李牧軍が包囲する中、軍総司令・昌平君の命を受けた介億が援軍を従え到着。秦軍も防衛線の役者がそろった。ついに戦いへと突入するサイ。信率いる飛信隊は不慣れながらも奮闘を見せる民兵とともに獅子奮迅の戦いをする。その様子を李牧の側近で趙軍の若き三千人将・傅抵が興味深げに見つめていた。その頃、秦軍三千人将・壁を将とする東壁は、風上で優位に立つ敵軍の猛攻に苦戦していたが、ここには軍師・河了貂の秘策が…!?
秦国最大の危機に、王都から兵を率い秦国最後の砦・サイに現れた秦王・エイ政。ボロボロの状態でたどり着いた信は、思いがけない再会に安堵(ど)する。エイ政は全ての民を集め、自らの決意を語り始める。それは大王自身も剣を取り、民たちと共に敵の進軍を食い止めるというもの。始めは戸惑い恐怖していた民だが、エイ政の力強い言葉と覚悟に心を動かされ奮い立つ!こうして迫り来る李牧軍との決死の攻防戦が始まろうとしていた。
李牧軍が王都・咸陽へと迫り、恐怖のどん底に落とされた秦国。その進軍の速さと勢いは天才軍師の昌平君の想像を上回り、秦は函谷関の兵を呼び戻せず、打つ手がない。この機に不穏な動きを見せる相国・呂不韋(りょふい)。咸陽では民の暴動も起きている。そんな中、秦王・エイ政は国を救うため動き始めた。一方、ヒョウ公の命を受け咸陽へ向かう信たちは、敵の追撃に身も心も疲弊する中、王都手前の城“サイ”へとたどり着いた。
飛信隊を引き連れ、王都の危機を救うためいち早く動いた大将軍・ヒョウ公は、仕掛けられた戦術を打ち破り、“大炎”李牧の元にたどり着いた。だが李牧の代わりに立ちはだかったのは、かつて馬陽の地で“秦国六大将軍”王騎を討った“趙三大天(ちょうさんだいてん)”ホウ煖(けん)であった。自らを「武神(ぶしん)」と名乗り、禍々しい気を放つホウ煖を前に不敵に笑うヒョウ公。大将軍同士の一騎打ちが始まろうとしていた…!!