ヴァンフォーレ甲府 ACLに挑む J2からアジアの頂点へ!

クラブチームのアジアナンバーワンを決めるACL・アジアチャンピオンズリーグ。日本からは4チームが出場。その中で唯一J2から参戦しているのが、去年天皇杯を制したヴァンフォーレ甲府です。決勝トーナメント進出をかけ、国立競技場で行われた大一番、中国の浙江と対戦した第4戦の舞台裏を中川安奈キャスターが取材しました。(サンデースポーツ 2023年11月12日放送)

(※2023年12月1日スポーツオンライン掲載)


選手たちを強力に後押ししたものとは


ヴァンフォーレ甲府は、1次リーグ3試合を終えた時点で2位。決勝トーナメント進出に向け、負けられない第4戦の相手は第3戦アウェーで敗れた中国の浙江です。大一番に臨んだ、ヴァンフォーレ甲府の選手たちを強力に後押ししたものがありました。

ー11月8日 国立競技場。
中川キャスター「試合開始の1時間前です。水曜日の夜ですが、皆さん続々と会場入りしています!」

ヴァンフォーレ甲府サポーター「勝つしかないですね。きょうは勝つしかない!」

ヴァンフォーレ甲府サポーター「まさかのJ2グループリーグ突破を見せたいですね」

さらに、駆けつけていたのはヴァンフォーレのサポーターだけではありませんでした。

ジェフユナイテッド千葉サポーター「いつもはJ2でライバルですけど、今日は応援しています」

川崎フロンターレサポーター「昨日川崎(フロンターレ)がACLで勝ったので、きょうその勢いで甲府を応援しにきました」

全国のJリーグサポーターが結集した大応援。それを実現させたのは、チームのある戦略でした。


全国のJサポが国立競技場に!集客大作戦


創設58年目にして、初めて国際大会に臨むことになったヴァンフォーレ。運営スタッフ20人、J1ビッグクラブの3分の1以下のスタッフで準備に奔走してきました。
ふだん使っている山梨県のスタジアムはACL開催基準である「背もたれがある席が5,000席以上」を満たすことができず、ホームゲームを東京の国立競技場で行うことになりましたが・・・。

<ヴァンフォーレ甲府スタッフ 植松史敏さん>
「平日のナイターでACL、初めてなので。実績もないし、どれだけ来るかもわからないですよね」

チームが目標に掲げた集客数は、J2シーズン中の平均7,400人を大きく上回る1万人。それを達成するため打ち出したのが、「#甲府にチカラを」という新たなキャッチフレーズです。キャプテンの関口正大選手などにも協力してもらい、SNSでメッセージを発信します

<関口正大選手>
「こんにちは。ヴァンフォーレ甲府、背番号23番、関口正大です。僕たちへの後押しをお願いします。#甲府にチカラを」

熱心なサポーター以外にも呼びかけようと、渋谷の巨大スクリーンでもPRを行いました。

<ヴァンフォーレ甲府スタッフ 植松史敏さん>
「国立で山梨のチームがやるなら『ちょっと行ってみるか』という機運というかムーブメントが起きればいいなと」

チームのためにサポーターたちも動き始めていました。 ヴァンフォーレの試合を200回以上観戦してきたという矢部智之さん。SNSで「#甲府にチカラを」のメッセージを拡散しました。

「他のサポーターだけど甲府を応援したいという方、ぜひ」

その呼びかけに全国のJリーグサポーターが。

「11月8日、行くぜ」
「Jサポの仲間として、ヴァンフォーレを応援したい」

さらに人気バンドのメンバーなど、山梨県出身の著名人も次々と発信。急速に輪が広がっていきました。

<ヴァンフォーレ甲府サポーター 矢部智之さん>
「素直にうれしかったですね。ホームの大声援を生かして、必ず勝ち点3を取りたいと思います」


関口選手「素晴らしい雰囲気を作ってくれた」


多くのサポーターが詰めかけた国立競技場での第4戦。入場者数は、1万2256人。目標を大きく上回りました。
大声援が選手たちをあと押し。1点差に追い上げられた後半13分には、SNSでサポーターに呼びかけたキャプテン、関口選手がゴール。応援を力に戦ったヴァンフォーレは4対1で快勝し、グループ首位に立ちました。

<関口選手>
「本当に素晴らしい雰囲気作って下さっていますし、それをしっかり結果で応えられたのはよかったと思います」

<ヴァンフォーレ甲府サポーター 矢部智之さん>
「みなさんの応援が選手の力にもなりましたし、J2でも世界の舞台で戦えるということ、それを示せたのは本当に誇りに思います」

中川キャスター:国立競技場での応援は本当に一体感があって、よく見ると色とりどりのユニフォームを着たサポーターたちが一緒になって応援していて、いつもとは違うエネルギーを感じましたね。

佐藤寿人さん:僕は長い間Jリーグで戦ってきましたけど、こういった経験はもちろんないですし、改めてJリーグが横のつながりを大事にしてきて、ここまで歩みを進めているところが、こういう姿を見せてくれたのかなと思いますね。

中川キャスター:第1次リーグは残り2試合。12月中旬には最終戦を迎えます。