宮澤ミシェルさんに聞く! ~J1開幕、注目は~

サッカーJ1は、2月23日開幕です。昨シーズンは、ヴィッセル神戸の初優勝に沸きました。今シーズンは新たにFC町田ゼルビア、ジュビロ磐田、東京ヴェルディが加わり20チームで争われます。どんなシーズンになるでしょうか、この方に伺います。聞き手は上野速人アナウンサーです。(※2024年2月22日 ラジオ第1『マイあさ!』で放送)

(※2024年2月23日スポーツオンライン掲載)


昨シーズン優勝”神戸”からスタート


上野速人アナウンサー)NHKのサッカー解説でもおなじみ、宮澤ミシェルさんです。ミシェルさん、よろしくお願いします!

宮澤ミシェルさん)よろしくお願いします!

上野)今シーズンの話の前に、昨シーズンは優勝が神戸、2位が横浜F・マリノスとなりました。振り返って、印象いかがでしたか?

宮澤)神戸の初優勝だったんですけれども、34試合で21勝もできたチーム。大迫勇也選手と武藤嘉紀選手、そして、酒井高徳選手と海外を経験した選手たちが、相手のボールを奪って縦に速く攻めるっていうサッカーを浸透させましたね。

今までだと、ちょっと相手のボールを奪ったあとに横につないでゆっくりという展開にするんですけれども、神戸の場合は、それを縦に速くという形を作って、それが実現できたので、本当に相手チームを苦しめて、最後は初優勝にたどりついたと言えると思いますね。

上野)大迫選手は、昨シーズンMVPで得点王ですし、今、名前が出た選手の他にも、ベストイレブンだった山口蛍選手もいます。さらに、新たなメンバーとして元日本代表MFの井手口陽介選手も加わりました。積極的に補強もしてますよね。今シーズンも優勝争いの中心になりそうですか?

宮澤)はい。間違いなく神戸が中心にいくと思いますね。井手口選手の補強も非常に良かったし、中盤もよりアグレッシブに守るという形が作れるので、あとは、けが人が出ずに、大迫選手、武藤選手らが試合に出られれば、先頭を走ると思いますね。


新監督のマリノスは…


宮澤)あとは、マリノスですね。昨シーズン63得点取ってるんですけど、これ、リーグナンバーワンなんです。ただ失点が40(リーグ7位)とちょっと多かったんですよね。ここが、新監督、ハリー・キューウェル監督になってどうなるか。

上野)キューウェル監督は、現役時代、オーストラリア代表でしたよね。

宮澤)そうですね。イングランド・プレミアリーグでもプレーしてました。本当に攻撃的な監督なんですけども、補強した天野純選手あたりが攻守のバランスをとれるようになれば、マリノスも(2年ぶりの)奪還があると思います。


サンフレッチェ・レッズ・フロンターレ


そして、サンフレッチェ広島(昨シーズン3位。失点はリーグ2番目に少なかった)。守備的な選手たちが、佐々木翔選手、荒木隼人選手、塩谷司選手ときっちり残っているので、広島の安定感もあると思います。

ただ、ダークホースは、やっぱり浦和レッズかなと思ってます。浦和は昨シーズン27失点でリーグ最少失点。1試合平均1点も取られてないわけですからね(約0.8点)。(守備の面では)ホイブラーテン選手とかショルツ選手とか、GKで元日本代表の西川周作選手とか、きっちりチームに残ってるし、あと、(攻撃面では)清水からサンタナ選手、名古屋から前田直輝選手を獲得してきたということもあって、補強もうまくいったし、自分たちのやりたいサッカーにあった選手たちを獲得できたんで、これ、ダークホースですね、浦和はね。

上野)だいぶ攻撃力も強化された印象ありますね。他のチームで言うと、先日行われた今シーズン最初の公式戦スーパーカップ。昨シーズンのJ1王者・神戸と天皇杯優勝・川崎フロンターレが戦った試合なんですが、1対0でフロンターレが勝ちました。フロンターレはどうですか?

宮澤)フロンターレは、攻撃的な選手3人、中盤の6人、ディフェンス3人と新たに補強しました。選手層の厚みはリーグナンバーワンじゃないでしょうかね。

そのカップ戦の前に、ACL、アジアチャンピオンズリーグを戦ったので、カップ戦の時は、(スターティングメンバー)11人全員変えました。サッカーではターンオーバーって言うんですけど、ACLを戦った選手ではない11人で戦って、それで神戸に勝ったんですから、今シーズンにかける思いはピカイチじゃないですか。


昇格組は…


上野)あと、昇格組が3チームありますね。特に、町田は初めてのJ1になりますが、いかがですか?

宮澤)町田は、昨シーズン黒田剛監督1年目で、J2で突き抜けて優勝しました。宇野禅斗選手とか、黒田監督の青森山田高校時代の教え子たちが入ってます。

町田の戦い方というのは、J1で初めてなのでどこのチームもわかりませんのでね、ちょっとダークホース的な感じもしますし、開幕から2,3試合うまくいけば、はまるんじゃないでしょうか。

上野)黒田監督は、青森山田で高校選手権3回優勝という名将ですが、そのチームに元日本代表の昌子源選手も加わったんですよね。

宮澤)そうですね。J1に昇格した時って、そこで本当にディフェンスが通用するのかってわからないんですけど、そういう面で、ベテランの昌子選手も加わりましたし、経験豊富な選手がいてくれて、そこに計算がつけば面白いチームになると思いますよ。

さらに、去年、途中までJ2で得点トップで走ってたエリキっていう選手がいるんですけど、この選手は、昨シーズン怪我したんですよ。でも、その前30試合で18得点取ってたんで、すごいんですよ。藤尾翔太選手も残りましたし、そこにナ サンホ選手が加わって、非常にバランスよく補強できたと思います。


五輪世代の注目は…


上野)あと、今年はシーズン中にパリオリンピックもあります。今から注目しておいた方がいい選手はいますか?

宮澤)鹿島アントラーズの中盤、左サイド、27番の松村優太選手ですね。ドリブラーで非常に技術が高くて面白い選手ですね。

杭州アジア大会での松村選手

あとは、柏レイソルの点取り屋、細谷真大選手。代表にも選ばれてましたけれども、この選手も点数を取り始めると止まらなくなる選手なので、注目してほしいなと思いますね。

上野)そして、開幕節は、日曜日にかけて10試合ありますが、注目カードいかがですか?

宮澤)なんといっても、東京ヴェルディと横浜F・マリノス戦ですかね。

1993年5月15日のJリーグ開幕の年の開幕カードなんですよね。これは、私も当時(Jリーグで)プレーしてましたけれども、思い出深いゲームですね。これがJリーグ31年目にして、また開幕カードとして実現するということでたまらないですね。

上野)そして、ミシェルさんが注目された浦和は、広島と、広島の新しいスタジアムでの試合となります。NHKでは開幕戦、広島対浦和を総合テレビで中継します。J1今シーズンの展望、宮澤ミシェルさんでした。ありがとうございました!


この記事を書いた人

上野 速人 アナウンサー ラジオ第1放送『マイあさ!』スポーツコーナー担当。

中学から大学までバスケット部一筋。
高校生から男女のトップリーグ、NBAまで多くの実況を担当。趣味はバスケット研究。